狼様の愛のカタチ理論





院長様にはもちろん会いたい。


だけど、それによって扇李と離ればなれになるのは、やっぱり辛いよ…


「…もうっ、いや」


寝起きだというのに、スッキリしない心の傷みを押し込め身体を包むように脚を抱えうずくまると―…




「沙優様、お目覚めですか?」


いつものようにドアを叩き、静かにドアを開けてサイさんが姿を現した


「あ、サイさん…」

「おはようございます、ごゆっくりお休みになれましたか?」


私を気遣うような台詞に頷くと、サイさんは微笑みながら近付いてくる


「それは良かったです。扇李が沙優様はまだお休みだと言っていたんですが、ちょうどよくお目覚めですね」


「…はい」

「朝食はどうされますか?」


朝食か…なんだか、食べる気分じゃない…

「ごめんなさい…今日は、いらないです…」


頭を下げながら言うと、サイさんは残念そうに顔を歪める



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