狼様の愛のカタチ理論



覚えてないか?なにが?

後ろを振り向くと、扇李と瞳と視線がぶつかる


「沙優、昔に何か…呉羽と会ったことがあるんだ」

「…え?」


私が呉羽さんと?

「まさか、呉羽さんみたいな人に出会ってたら覚えてるもん」

「嘘つけ。沙優が4歳くらいのころと、お前が両親をなくし施設にはいった時だ」

「4歳って…しかも施設?」


「マリナ様の施設だ。まぁ、呉羽の母親の施設だからな、会うのは当然だが本当に覚えてないのか?」


「…全然」


どんな記憶を辿ってもそんな記憶はなくて


頭を悩ませる私に扇李はため息をはく



「その様子だと、我と最初の出会いも覚えてないか」

「最初の出会い?」


だから、それは…


「リンゴを拾ってくれた時でしょ?」


確か院長様も昔出会ったとかなんとか言ってたよね?


「違う、思い出せ」


「う…っ」


グニャと私の頬を掴みグルグルと回す扇李


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