狼様の愛のカタチ理論
私がそう言うと、サイさんはホッとした顔つきをすると
ある扉の前で立ち止まりそのドアを開け、長方形の包みを私に差し出した。
「…これって」
「はい、着物です。これから扇李のいる王の間に案内するのですが、他の神も王の間にいますので…出来ればこれに着替えて頂きたいのです。王の花嫁が人間界の服装を着たままですと、色々と厄介なので」
そっか…サイさんが言う通り、王の花嫁が今の私みたいな服装なら嫌だろう
「分かりました。着替えて来ます」
「お願いします。えっと」
「…?」
頬を数回かいて微かにサイさんの頬が赤くなる
「実は、着れなかったらどうしようかと思ってました」
「へ?どうしてですか?」
「今日は宮殿に女性がいないので…」
「………っ」
サイさんの"…"がなんとなく分かって、思わず私も赤くなってしまう
「あ、あぁ、いえ…え、えっと、じゃあ着替えて来ます…」
「は、はい。お願いします」
なんだか恥ずかしくて片言になりながらも、私は頭を下げると急いで部屋に入って着物に着替えた
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