狼様の愛のカタチ理論





怖いよ…怖い


扇李が怖くて、心がくじけそう…きっと、気を緩めたら涙が出てしまう…


だけど、泣いちゃいけない…サイさんと約束、したからっ


「………っ」


「泣かないのか?女よ、泣きながら止めてと願えば止めてやる」


そう言い、扇李の片手が帯に触れもう片方の手は私の首筋を這うように動く


「……っ」


泣けるわけないじゃない?こいつは本気で言ってるの?


きっと、こーやって私をからかって楽しんでるんだ


私が泣いて、頼むと思って…っ。笑えてくる…


だれが…


「泣けよ、つまらない」

「………っ」

扇李なんかに!


「ほら」


頼みなんかしない!



「離して!」




バチーン!!


そう言った瞬間、大きく振りかぶった手が扇李の頬に勢いよく当たり、その光景に周りがサァーと静かになった




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