狼様の愛のカタチ理論
危険な夜
な、なに?
怖い、と言うより…威嚇をするような目に私は一本後ろに下がる
「あ、あの」
「沙優様」
「は、はい!」
「失礼ですが、あなたは馬鹿じゃないですか?」
「え?」
ば、馬鹿?
予想もしていなかった言葉に私はつい唖然としてしまう
「扇李の顔を殴るなんて、花嫁じゃなければ命はなかったんですよ!沙優様!あの扇李の怒りを含んだ顔を見ましたか!?扇李は普段から目付きが悪いですが、あんな顔は恐ろしいです!しかも沙優様を庇ったではありませんか!」
ガァーとマシンガンのように話し、それが終わると頭を押さえてしゃがみ込み"あ゛ー!"と叫ぶ
「…………」
な、なんで一葉さんがこんな慌てるの?
殴ったのは私だ。だから普通なら私が叫びたいくらいなのに…
って、言うか、一葉さんの最初に見た時のイメージとのギャップがありすぎる…冷めた言葉使いなのに、実は熱い神だったのか…
「あー…もう、終わりです。これでまた私の苦労が増えて…!」
「………」
はぁっ、と、ため息をはいてボソボソ呟く一葉さん
なんだか…一葉さんには一葉さんの事情があるんだろうけど…とても不憫に見えてきた
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