狼様の愛のカタチ理論
「まぁ、終わった事を悔いても仕方がないのでもういいです。後で何をされるか知りませんが、覚悟して下さいね」
「は…はぁ…?」
そう頷くと、膝に肘を付きながら一葉さんが私をみて軽く微笑む
「しかし…」
「?」
「沙優様は凄いですね」
「え!?」
さっきまで、馬鹿にしまくっていたのに突然の笑顔と誉め言葉にドキッと胸が高鳴る
「今日天界に来たばかりで、色々と思う事もあるでしょうに…いきなり王の間にはいり老役達(ろうやく)にあれだけ言われ、しかも扇李に皆の前で脱がされそうになって、怖い思いをなさったのに…涙一つみせないなんて、人間にしては凄いです」
「…………」
「普通の神の女でも、泣いてしまう所なんですから」
そう言う一葉さんの言葉に私は苦笑いを返す
「怖くないわけじゃないんです。涙だって気を緩めたらきっと零れてると思いますから」
「?」
「だけど、私にはもう帰る場所はないですし…守りたいものもあります。そのためなら、恐怖なんて我慢出来ますし、涙なんてへっちゃらですよ!」
二度と施設にはいけないし、皆を守るために花嫁になったんだ
だから、泣いたりして花嫁になれなかったら、皆を守れない
一葉さんに向かってピースをしながら言うと、"面白い人間ですね"そう言い彼は立ち上がる
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