放課後は、秘密の時間…
序章
まさか。

こんなことになるなんて、思ってなかった。


「――ねぇ先生?こんな写メ出回ったら、大変なことになるんじゃない?」


携帯電話をちらつかせながら、不敵に笑った一人の男子生徒。


彼の手の中にあるそれに、鮮明に映っているものを見て。

一瞬、あたしは自分の目を疑った。


たった一枚の小さな画像に、釘付けになる。


そこにあるのは紛れもなく……

あたしと彼の、“キスシーン”だった――……


「それは市川君が無理やりっ、」

「そんなの、見る人によっては合意チューに見えるんじゃない?」


首をかしげて、彼がフフッと笑う。

その目はあたしを捉えながら、余裕を漂わせて、次の言葉を待っていた。


「こんな……こんなことして、何がしたいのよ?」


不安とショックから震える声と、どんどんたまってくる涙。

それを必死に抑えるあたしに、彼はひどく楽しそうに口を開いた。


「お願い、聞いてほしいんだ。そうしたら、この写メは誰にも回さないから」

「お願い?」


うん、と頷いて。


そして、にっこり笑いながら言ったんだ。


「先生、俺と付き合ってよ」

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