放課後は、秘密の時間…
何度も何度も繰り返される、触れるだけのキス。

それは、頬に顎に、段々と降りていって、首筋にも触れた。


「あいつがつけた痕なんか、消してやる」


きっと、堤君に残されてしまったキスマークのことを言ってるんだ……


市川君は唇を寄せて、その部分にキスを落とした。


堤君の時は、あんなに気持ち悪いって思ってたのに。

市川君にされると、身体の奥が震える。


「先生に触れていいのは、俺だけだ」

「……っ……」


痛いのはほんの一瞬だけ。

すぐにそれは、甘い疼きに変わって。


「……市、川…くん……」

「これは、俺がつけた印だから」

「………」


最後に軽いキスをもう一度して、市川君は離れていった。


「これ以上は、やめとく」


代わりに、彼の腕があたしをきつく抱きしめた。

あたしにも聞こえてくる市川君の胸の音は、すごく速くて。


「先進んだら……俺多分我慢できなくなる」

「……市川君……」

「今だって、正直、辛いし」


そう言って、困ったような笑顔を浮かべた。

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