放課後は、秘密の時間…
アパートに着いたあたしは、ドアの前にいる人影を見て足を止めた。

そこにいたのは――


「おかえり、あかり」

「大也……?」


あたしに気がついてふっと微笑んだ、スーツ姿の大也。


こんな時間に、どうして大也がいるの……?

今日は休日でもないし、もちろん会う約束なんかしてない。


大也だって、今は実習中で忙しいはずなのに。

スーツを着てるってことは、実習が終わったあと、そのままここに来たのかもしれない。


「どうしたの?」

「どうしたって、あかりに会いに来たんだよ」


大也の口調が、いつもより乱暴に聞こえるのは……

あたしの気のせい?


「そっか……とりあえず中入って?」


大也を部屋に通したとき、あたしは何か違和感を感じた。


大也は合鍵を持ってるはずなのに……

こんな寒い日に、どうしてドアの外で待ってたの?


「あかり……」

「ん?」


振り返ると、大也は立ったまま、あたしをじっと見つめてる。


「あかりは、俺のこと好き?」

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