放課後は、秘密の時間…
視線が逸らせない。


肩を押さえつけてる大也の手にグッと力がこもった。

それは、軋むほどの強さなのに不思議と痛みは感じなくて……


「あかり、答えろ」

「……それ、は……」

「さっきキスしてたヤツ?」


その言葉を聞いた途端、あたしの指が震えだした。

今の状況も、あたしの立場も、もう何もかもわからなくなってくる。


だって、どうして……

どうして大也が知ってるの?


市川君とキスしてたこと――……


「見て、た…の……」

「………」


大也は何も答えない。

その沈黙が何よりの肯定を示してる。


「どうして……」

「どうして、だって!?それは俺のセリフだよ!どうしてお前が、俺じゃないヤツとキスしてんだよ!」

「……ごめ…ん、なさ……」


目の奥が熱くなる感覚。


泣く資格なんか、あたしにはないのに。

自分でもわからない感情が、涙になって溢れてくる。


「なぁ、言い訳ぐらいしろよ?」

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