放課後は、秘密の時間…
「それは、市川君が無理やりっ、」

「そんなの、見る人によっては合意チューに見えるんじゃない?」


……言葉を返せない。


だって、確かにそうかもしれない。

あの画像だけを見ると、そう思う人もいるかもしれない。


むしろ、無理やりキスされたなんて考える人がいる?


ううん……いるわけないよ。


「こんな、こんなことして……何がしたいのよ?」


急に目頭が熱くなった。

でも、こんなヤツの前で絶対泣きたくなんかなくて。


涙をこぼさないように唇を強く噛んだあたしに、


「お願い、聞いてほしいんだ。そうしたら、この写メは誰にも回さないから」


市川君は、落ち着いた声で言った。


「お願い?」

「先生、俺と付き合ってよ」

「……何言って……」

「じゃなきゃ。この写メ、皆に回しちゃうから」

「でも、あたしには彼が、」

「言ったじゃん、俺には関係ないって。そんなのどうでもいいよ」


どうでもいいわけないっ……!


思わず、そう言いそうになったけれど……

市川君の持ってる携帯電話が視界に入って、何も言えなくなってしまう。

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