放課後は、秘密の時間…
約束の時間に花時計に向かうと、大也はもうあたしを待っていた。

店の一番奥の席に腰掛けて、窓からぼんやりと外を眺めている。


「――大也……待った?」


声をかけると、はっとしたようにあたしを見て、首を振った。


「いや、俺も今来たから」

「そう、良かった」

「座って」


言われるまま、向かい側の席に腰掛ける。


初デートと、全く一緒。

あの時も、この席に座ったんだ。

大也もあたしも、お互いに照れて、ぎこちない会話なんかしながら。


緊張してたから、あたしはよく覚えてるけど、大也は忘れちゃってるんだろうな……

じゃなきゃ、わざわざこの席になんか、座らないよね……


「突然、悪かったな」

「ううん……今日休みだし、大丈夫」


いつ、「別れよう」って言われるんだろう……

その瞬間がくることが、怖くてたまらない。


「話っていうのはさ、この前のことで」

「……うん」


あたし達、今日で終わり、なんだね……


「あれから、俺なりにずっと考えてたんだ。俺達さ……」

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