放課後は、秘密の時間…
大也は一度言葉を切って、小さく首を振った。


「――いや。それよりも先に、お前に謝りたい」

「……大也?」

「この前、あんなことしてごめん。無理矢理、その……しようとして」


どうして、大也が謝るの……?

謝らなきゃいけないのは、大也を裏切ったあたしの方だよ?


「かっとなって、自分でも止められなくて……悪かった」

「ううん……」

「お前のこと傷付けたんじゃないかって、ずっとそればっか気になってた」


やっぱり、大也は優しいんだね……

でも、これから別れるあたしのこと、そんなに気にかけてくれなくてもいいんだよ?


「気にしてないから……だから、平気だよ」


本当は、あんな大也は初めてで、すごくショックで怖かった。


でも、大也を怒らせたあたしが悪いんだから……


「大也は悪くないよ……だって、あたし、」

「たった一回、キスしただけだろ?」


強い口調で、大也があたしの言葉を遮った。


「それ以上のこと、お前、まだしてないだろ」

「どうして……」


そんなこと、分かるの?

確かに、大也の言う通り、あたしと市川君はそういう関係じゃない。

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