放課後は、秘密の時間…
だけどあの日、首筋のキスマークを確かに大也は見たはずだ。


それなら、あたし達のことをそういう風に誤解したっておかしくない。

ううん……むしろ、そう思うのが普通なのに。


「分かるよ、お前のことなら。三年間、付き合ってきたんだから」

「でも、キスマーク、見たよね……?」

「見たよ」

「……それじゃ、どうして?」

「ばかだなぁ、あかり」


大也は、ふっと笑った。


「お前のその言葉が、何もないって証明してる」

「……大也……」


それでも、あたしが大也を裏切ったことには変わりない。

体の関係がなかったとしても、キスしてしまったんだから。


自分から、望んで……


「なぁ、あかり」


大也があたしをまっすぐに見据えた。


「俺はお前が他のヤツとキスしたことを責めるつもりはないよ」

「でも……」

「俺だってあの夜、お前にひどいことをしたから。お互い様だ」


一層強い視線が、あたしに向けられてる。


「――それに、俺はお前と別れるつもりはないから」

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