放課後は、秘密の時間…
「――別れるなんて、言わせねぇ」

「……大也っ……」

「お前、やり直すって言ったよな?ちゃんと頷いたよな?」

「でも……でも、もう無理だよ……」


あたし……

市川君のこと、まだ好きなんだよ。


隣に大也がいることも忘れて、彼の名前を呟いてしまうくらいに。


こんな気持ちで、大也の傍にいられない。


「何でだよ……今まで俺ら、うまくやってきたじゃん」


溢れ出した涙が、大也の服に染みこんでいく。

喉の奥に詰まった言葉が、嗚咽になってこぼれた。


「お前のこと、ずっと大切にしてきた。なのに――」


独り言みたいに話し続ける大也の言葉が、胸に刺さって痛い。


「何で俺じゃねぇんだよ?何で他のヤツになんか……」


かすかに震えてる、大也の声。

泣いてるのは、あたしだけじゃない。


きっと、大也も――……


苦しくて切なくて、涙が何筋もこぼれていく。


三年間付き合ってて、初めてだった。


大也の、こんな涙声を聞いたのは……

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