放課後は、秘密の時間…
視線も合わせずに気のない返事をした市川君に、あたしの胸はちくりと痛んだ。
――バカみたい……
自分からひどいことを言って、市川君から離れたクセに。
あたしは、何を期待してたんだろう。
「淋しい」なんて、市川君が言うわけないよ。
その逆は、あったとしても……
土曜日だって、大也にされたキスを市川君はきっと見てたはずだ。
あんな瞬間を見て、それでも好きでいてくれるはずない。
あたしのこと、もう完全に嫌いだよね……
そう思うだけで、同じ教室にいるのが耐えられないほど辛い。
この授業が早く終わらないかと、さっきからそればかり願ってる。
「なんだよ、拓真ぁ。そっけねぇなぁ」
ちぇっと軽く舌打ちをした斉藤君に、あたしは笑顔を作った。
「いいから。ほら、ちゃんと自分の絵、描いて」
「はいはい」
パレットと筆を持って画用紙に斉藤君が向き直った瞬間――
ガタンッ……
何かが倒れた音と生徒達の驚いた声が、大きく室内に響いた。
振り返ってその光景を目にした瞬間、あたしは彼の元へ走り寄っていた。
「――市川君っ!!」
――バカみたい……
自分からひどいことを言って、市川君から離れたクセに。
あたしは、何を期待してたんだろう。
「淋しい」なんて、市川君が言うわけないよ。
その逆は、あったとしても……
土曜日だって、大也にされたキスを市川君はきっと見てたはずだ。
あんな瞬間を見て、それでも好きでいてくれるはずない。
あたしのこと、もう完全に嫌いだよね……
そう思うだけで、同じ教室にいるのが耐えられないほど辛い。
この授業が早く終わらないかと、さっきからそればかり願ってる。
「なんだよ、拓真ぁ。そっけねぇなぁ」
ちぇっと軽く舌打ちをした斉藤君に、あたしは笑顔を作った。
「いいから。ほら、ちゃんと自分の絵、描いて」
「はいはい」
パレットと筆を持って画用紙に斉藤君が向き直った瞬間――
ガタンッ……
何かが倒れた音と生徒達の驚いた声が、大きく室内に響いた。
振り返ってその光景を目にした瞬間、あたしは彼の元へ走り寄っていた。
「――市川君っ!!」