放課後は、秘密の時間…
「それじゃ、いただきます」


早速箸を持って、市川君は卵焼きを口に運んだ。


「……どう?」


市川君好みの、甘い卵焼きになってる?


「………」


どうして、何も言ってくれないの?

美味しくなかった?


「ごめんね……口に合わなかった?」

「逆」

「え?」

「感動して、言葉出なかったの」

「?」

「だから、すげー美味しいってこと!」


……ホントに?


確かめるように市川君を見ると、満面の笑顔が返ってきた。


「本当!メチャクチャうまい!」

「良かったぁ……」


――頑張ったかい、あったかな?


実は今日、このお弁当のために、かなり早起きしたんだ。


病み上がりの市川君のために、栄養あるもの作らなきゃって思って……

いつもの何倍も時間をかけて、料理したんだよね。

< 181 / 344 >

この作品をシェア

pagetop