放課後は、秘密の時間…
市川君の突然の言葉に、急に涙腺が緩んだ。


あたし、いつからこんなに泣き虫になっちゃったんだろう?


「先生、返事は?」


優しく促す声。

甘い約束に、あたしはゆっくりと頷いた。


「――はい……」


実習が終わるまで、今日を含めてあと4日。


それが過ぎたら……

あたし、市川君の彼女になるんだね。


だけど、その前に……

大也とちゃんと話さなきゃ。


そして、そのことも市川君に伝えなきゃいけない。


「市川君……あたしね、彼がいるんだけど……」

「知ってる。土曜も見たし」


ふっと曇った表情に、あたしの胸が痛む。


「……キス、見た……よね?」

「……うん」

「そっか……」


やっぱり、見てたんだ。

市川君だけには、見て欲しくなかったのに――……

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