放課後は、秘密の時間…
「正直、すげーショックだった。情けない話だけど、あの後、一歩も動けなくてさ」

「……え?」


土曜日は、確か雨が振ってたはず。

それも、結構激しい雨。


「市川君、もしかして、風邪ひいたのって……」

「あーうん、気が付いたらすげー濡れてたけど」


――あたしのせいだったんだ……


市川君があんなに高熱を出したの。


「何でそんな顔すんの。先生のせいじゃねぇって」

「……でも、」

「そのおかげで、先生とこうしていられるからいいよ」


あたしを安心させるように、柔らかく微笑む。


「先生が今好きなのは、俺だよな?」

「……うん」

「なら、いいんだ」


……市川君、どんな気持ちだったんだろう?


あたしだって、市川君が他の女の子とキスしてるトコなんか見たら、きっとすごく落ち込む。

想像するだけで、こんなに嫌だもん……


「……彼とは、まだ別れてないんだ。でも、ちゃんと別れるから」

「……うん」

「それまで、待っててくれる?」

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