放課後は、秘密の時間…
……好き。

あたしだって、市川君が好きだよ。


「泣くなよな、センセ」


こぼれた涙を唇で拭いながら、市川君が微笑む。


「俺、先生以外、好きになれねぇから」

「……たしも、市川君が好き……」


小さく言うと、市川君の腕に少しだけ力がこもった。


「……時間、かかるかもしれない、けど……」

「うん」

「ちゃんと……話してくる、から……」

「うん」


頷きながら、市川君はあたしにキスをした。


「絶対、俺のところに戻ってきてよ」

「……うん……市川君のところに、戻ってくる」


繰り返して、もう一度唇を重ねる。


――約束のキス。


大也とのこと、ちゃんとしたら……

市川君と一緒にいるよ。



市川君が、大好きだから。

きっと、この腕の中に戻ってくるよ――……

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