放課後は、秘密の時間…
電話越しに大也が笑ってる。

こんな何気ない会話がすごく嬉しい。


大也の声が聞けるだけで……

あたし、何でも頑張れそうな気がしてくるよ。


「ねぇ大也……実習、頑張ろうね?」

『おう、5週間なんてすぐだよ。終わったらさ、二人でぱーっと打ち上げしような?』

「うん、楽しみにしてる!」

『それじゃあな、あかり。頑張りすぎんなよ!』


バイバイの言葉を耳に残して、電話は切れた。


ツーツー……という音を聞いたとき、一瞬だけ淋しい気持ちになったけど……

あたしの胸は、なんだか温かくなっていた。


彼氏の力って偉大。


残りの実習、この先何があっても頑張れる。

そんな風にさえ思えるんだもん。


大也のおかげで、いやなこと、全部吹き飛んじゃったよ。

ありがと、大也……


市川君はきっと、あたしのことをからかってただけよね?


実習生なんか珍しくて、からかっただけ。

明日になったら、「冗談だよ」なんて笑うに決まってる。


あたしはそう思い込んで、家までの道を帰った。



――だけど。

そう、上手くいくはずもなかったんだ……

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