放課後は、秘密の時間…
あたしがこの先、市川君と一緒にいるためには、避けては通れないこと。


「市川君にもね、知っておいてほしくて……」

「じゃあ、俺、先生の話終わるまで、近くで待ってるよ」

「え?」


予想もしなかった言葉に、思わず市川君を見ると、彼が大きく頷いた。


「さすがに俺が一緒に行くことは出来ないけどさ。せめて、待ってたいから」

「でも、どのくらい時間かかるのか、わかんないよ……?」

「いいよ、そのくらい」

「……市川君……」

「いくらでも待てるって言ったじゃん」


当然、と微笑んで、あたしの頭をぽんと撫でた。


「先生には、俺がついてるから」

「……ありがとう」


大也とのこと、不安な部分もいっぱいあるんだ。


あんな別れ方して、会うのは少しだけ気まずいし……

それに、もしかしたら「別れない」ってまた言われるかもしれない。


一度で納得してくれないかもしれない。


でも、市川君がいてくれると、全部上手くいくような気がしてくる。

根拠なんか何にもないけど、大丈夫だってそう思える。


「ありがと……」


もう一度小さくお礼を言って、あたしは市川君に笑顔を返した。

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