放課後は、秘密の時間…
放課後。

あたしは職員室で、残った仕事を片付けていた。


机の上は、最後のHRで貰った大きな花束と色紙が2枚、それに生徒からの沢山のプレゼントで溢れている。


HRで思わず泣いてしまったあたしに、市川君は、また口をパクパクさせて『ナ・キ・ム・シ』なんて言ったんだ。


最後の最後まで、イジワルなんだから……



今日はこの後、先生方と実習についての反省会がある。

だから、市川君とは会えないし、もちろん、そのことも彼にはお昼休みに伝えてある。


あたしは、プレゼントの下になっていた学級日誌を引っ張り出した。

これをチェックして判子を押せば、実習生としてのあたしの仕事は終わり。


今日の日直は、誰かな?


パラパラと日誌をめくって、あたしは思わず呟いてしまった。


「……斉藤君……」


『今日の活動記録』に書かれていたのは、たった一言。


『あかりちゃん、最高!元気でねー』


これ、あたしの後に高田先生もチェックするんだよ?

こんなの見せられないよぉ……


斉藤君、まだ帰ってないかな?

もう一回、ちゃんとしたの書いてもらおう。


あたしは日誌を片手に、もう一度、C組の教室へと向かったのだった。

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