放課後は、秘密の時間…
彼の声のトーンが、少しだけ下がった。


「ワケわかんねぇこと言うなよ」

「わかんないのは、市川君だよっ!」


遊びなら、こんな関係だって続ける必要なんかない。


「もう、終わりにしてっ……もう、十分でしょ?」

「何言って、」

「ねぇ、あたしの反応見てて、楽しかった?あたしと一緒にいて、暇つぶしくらいにはなった?」

「――先生、まさか……」


もう、嫌だ……

これ以上、惨めになりたくない。


「もう二度と会わないから……さよなら、市川君」

「待って、セン――」


彼の言葉を無視して、あたしは携帯電話の電源ごと切った。

我慢してた涙がこぼれて、頬を濡らしていく。


最後に聞こえた、彼の必死な声。


どうして、あんな声で引き止めたりするのよ?

全部、嘘だったくせに――……


あたし……本当にどうしようもない。


遊ばれてたって解かってるのに、どうしてまだこんなに彼を好きなんだろう?

何で、嫌いになれないのよ……?


いくら泣いても、あたしの胸の痛みは、薄れることはなかった。

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