放課後は、秘密の時間…
胸がいっぱいで。

ただ、頭の中に浮かんだ言葉だけがこぼれた。


あたしが今、一番市川君に伝えたいこと。


「市川君、が……好き、だよ……」

「え?」


驚いたように顔を上げた市川君に、もう一度、繰り返す。


「あたし、も……市、川君のこ、と……」


やだ……

涙で上手く話せない……


「好き――……」


好きなんだよ。

市川君以外、もう見えないんだよ……


「センセ、本当に?」


言葉にならなくって、あたしは市川君の背中を抱き返した。

ありったけの力を込めて、彼のように、ぎゅっと強く。


「先生――……」


聞きたいことも、言いたいことも、いっぱいあったんだ。

でも、そんなの後でいい。


市川君が、あたしを抱きしめて、好きだって言ってくれた。


それがきっと、全てだろうから――……

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