放課後は、秘密の時間…
――だけど。

体中に刺さる視線を感じて、あたしはハッと我に返った。


そうだった……

ここ、改札のすぐ近くだ。


そんな目立つところで抱き合ってるあたし達を、通り過ぎていく人達がじろじろと見ていく。

向けられる好奇な視線に耐えられなくて、


「市川君、離してっ……」

「やだ」

「でも、人が見てるよ……」

「見せ付けてやれば?」

「だ、だめっ、そんなの……」


恥ずかしいよ……

もう、この駅来れなくなっちゃう。


そう目で訴えると、市川君は腕を緩めた。


「わかったよ。先生がそういうなら……」


なんて言いながらも、今度はあたしの手をしっかりと握って、歩き出す。


「あのっ……どこ行くの?」

「誰も見てなくて、邪魔されないところ」

「?」

「俺ん家」

「えぇっ?」


市川君の家っ――!?

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