放課後は、秘密の時間…
「金曜の放課後?」

「賭けとか、落とすとか……」


思い出すのはまだ辛くて。

本当は、こんなの言いたくないけど……


俯いたあたしに、


「やっぱり」


市川君は、まるで分かってたみたいに呟いた。


「先生、それちゃんと最後まで聞いてた?」


最後?


そういえば……

途中で斉藤君に会って、その後のことは聞いてなかったけど。


「俺、賭けには負けたんだ」

「どうして?だって、あたしは……」


市川君のこと、好きになっちゃったのに――……


「あいつらには、落とせなかった、って言った」

「……なん、で?」

「先生のこと、賭けなんかの対象にできるわけねぇじゃん」

「え?」


話しの内容が今ひとつ理解できなくて首をかしげたあたしに、市川君は説明を続けた。


「先生がまだ実習を始める前――俺らの間で、今度来る実習生が女だって知った時、誰が落とせるかっていう話が出たんだ」

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