放課後は、秘密の時間…
全校朝会なんて、面倒くせー。

大きな欠伸をしながら、俺は壇上の校長を見上げた。


「――さて、今日から、我が校で教育実習をする二宮先生です」


……ん?


目をこらしてよく見てみると、校長の隣にスーツ姿の女が立ってる。

ゆっくりとマイクの前に歩み出たその人に、俺は一瞬で目を奪われた。


遠目に見ても分かる、パッチリした大きな瞳。

雪みたいな白い肌は、頬のところが少しだけ紅潮してる。


「み、皆さん、おはようございますっ……教育実習生の、二宮あかりと申します」


緊張しているのか、その声はかすかに震えていた。


「な、拓真、すっげー可愛くねぇ?俺惚れそう~」


嬉しそうな声音で小さく話しかけてくる圭に、俺は無意識に呟いていた。


「――実習生、俺が落とす」

「は?」

「俺がやるから」


山崎が、俺以外の男が、たとえゲームでもあの人に近づくなんて、冗談じゃない。

何でかわかんねーけど、考えただけでムカついてくる。



この時は、それが嫉妬だったなんて、俺は全然気付かなかった。


とにかく、賭けでも、何でも良かったんだ。

彼女、二宮あかりに近づく口実が出来るのなら――

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