放課後は、秘密の時間…
朝のHRで、教室に先生が来た時の、あの感覚は今でも忘れらない。

体中に鳥肌がたつような、そんな衝撃っていうか。


「全校朝会でもご挨拶しましたが、二宮あかりと申します。2年C組の担当になりました。よろしくお願いします」


はにかみながら、挨拶をした先生。

近くで見ると、やっぱ、すっげー可愛い。


もちろん、そう思ったのは、俺だけじゃなかったけど。


普通、男子生徒に人気のある若い女の先生ってのは、女子に嫌われるもんだけど。

先生の場合は、男だけじゃなく、女子にも圧倒的人気を誇っていた。


おっとりした雰囲気だとか、少しドジなところが、女子に「かわいー」って評判で。

あまり関わっていない他のクラスや学年にも、やたらと好かれてたくらいだ。



相変わらず緊張しながら自己紹介をしてる先生から、俺は終始目が離せなかった。


何で、こんな気になんのか分かんねーけど。


でも、ずっと見ていたいって思うし。

出来れば、皆に話してる言葉じゃなくて、俺だけに向けられた言葉を聞きたい。


もしかして、俺……

先生に、一目惚れしたとか?


いや、まさか。

ありえねぇって、そんなの。


一瞬だけよぎった考えを、すぐに頭の中から追い出した。


だって俺は、今まで誰かを好きになったことなんてなかったから。

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