放課後は、秘密の時間…
俺の視線を感じて、赤くなりながら俯いたり。

授業中にふと目があった時、照れたように伏し目がちになる先生。


やっぱ、先生も……

俺のこと、少しは意識してくれてんのかな?


そう思うと、先生といる時間は、もっと特別なものになっていった。


断れ切れない先生の性格を利用して、昼休み、一緒にメシ食ったりとか。

もちろん、放課後の時間もそれまで通り、美術室で過ごした。



「――ねぇ先生……キスしていい?」


雨の中、一つの傘に入りながら聞くと、先生は耳まで真っ赤にした。

嫌だって言わないから、もちろんキスする俺。


この時間が、ずっと続けばいいって、ガラにもないこと思って。



そんな風に、浮かれてたから、気付けなかったんだろうな。

先生が、俺と彼氏との間で、毎日悩んでいたことに。



「市川君……さよなら」


突然告げられた別れの言葉を、すぐには信じられなかった。


だって、前日まで、普通に過ごしてたのに……


こんなの、信じろって方が無理だ。

でも、俺が何を言っても、先生は振り返りもしなかった。


そして、その次の日に俺が見たものは――……

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