放課後は、秘密の時間…
「どうしよ……」


突然振り出した雨を眺めて、途方に暮れたように呟いた先生。


玄関でしばらく抱き合っていた俺達は、そのまま部屋に移動して、何をするでもなく時間を過ごしていた。

気付けば、8時。


もう遅いから、と帰ろうとした先生だったけど、一変した天気に足を止めた。


「ねぇ、市川君。傘、借りてってもいいかな?」

「こんな雨ん中帰ったら、俺みてーに風邪引くよ」


窓を激しく叩く雨は、風が強いせいか斜め向きに振ってる。

こんなんじゃ、傘なんかさしても何の役にもたたない。


「……泊まってけば」

「え?」

「だから、泊まっていけば?こんな時間に先生一人で帰すのも心配だし」


それに、俺、今日は先生と一緒にいたいし。


「で、も……」


先生が、まるでりんごみたいに赤くなって、俯く。


だから、そういう顔されると、俺の自制心が崩れる。

そこまであからさまに意識されると、こっちも照れるんだって。


「別に、何もしないし」


俺、どんだけ欲求不満に思われてんだろ?

そりゃ、今まで先生にキスしたり、それ以上のこともしようとしたけどさ……

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