放課後は、秘密の時間…
あかりちゃんの実習が終わるその日まで、拓真の毎日はなんつーか……

うん、とにかく楽しそうだった。


まぁ、実習生と生徒の恋愛なんて当然ご法度。

大々的に言えるような関係じゃなくて、“秘密”だったけど。


拓真はそんなこと、大して気にもしてないみたいだった。

あかりちゃんと両思いになれただけで、きっと十分だったんだろうな。


だって、自分じゃ気付いてないんだろうけど。

拓真があかりちゃんのことを話す時は、もうほとんどノロケでさ。


顔も声も、これ以上ないってくらいに柔らかくて、思わず苦笑しちゃうぐらいだから。


でも、二人の関係がうまくいってるコト、オレも自分のことみたいに嬉しかったんだ。



もちろん、あかりちゃんの彼氏のことが気にならなかったワケじゃない。


その辺は詳しく聞いてないし、多分、色々整理すんのに時間がかかるんだろうなって思ったのも事実。


オレは付き合ったこととかないから、そういうのわかんないけど……


なんか修羅場っていうヤツ?

とにかく、大変なのは想像できた。


でも、きっとうまくいくだろ。


根拠はないけど、そんな気がしてた。

あかりちゃんの拓真を見る目が、なんだかすげー優しかったから。


だから、想像もしてなかった。

最後の最後に、二人が離れてしまうことは。

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