放課後は、秘密の時間…
――そして、あかりちゃんの実習最終日。


放課後、センセーに呼ばれた職員室の帰り、教室のドアの前に佇んでる見慣れた影に声をかけると、


「……斉藤、君……」


その背中が小さく震えた。


あかりちゃん?

なんか違和感感じたのは、気のせい?


「日誌、ちゃんと書き直してね?これ、高田先生も見るんだから」


でも、次の瞬間にはいつもの笑顔で。


「今までありがと、楽しかったよ。斉藤君、元気でね?」

「あかりちゃんもな!」

「……市川君にも言っておいてくれないかな?――美術係、お疲れ様、」


オレ、どうしてこの時気づけなかったんだろ。


あかりちゃんが、必死に笑ってたこと。

平常心を無理して保ってたこと。


笑顔が完璧すぎたからこそ、疑うべきだったのに。


「さよなら、元気でねって……」


込められた真意が分からなかったオレは、それを拓真に伝えて――

拓真もただの挨拶だって受け止めてたみたいだった。


その後、日誌を再提出した時には、あかりちゃんの姿は職員室には見えなくて。

拓真とオレがあかりちゃんの言葉の意味を知るのは、次の日のコトだ。


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