放課後は、秘密の時間…
その瞬間、あたしの頭に浮かんだのは、


『無理しすぎるなよ?お前、頑張りすぎるところあるんだから』


大也の笑顔。


昨日の大也の優しい言葉を思い出して、涙腺が一気にぶわっと緩んだ。


大也……だいや……

もういや、助けてよ大也……


こらえきれない涙が、ポタポタ床の上にこぼれて、


「せ、先生っ!?」


突然の涙に驚いたのか、慌ててあたしの涙を拭おうとした市川君の手を、あたしは思い切り振り払った。


「さ、わん…ないでっ!!」

「なにも泣くことないじゃん」

「……うっ…るさい……」


実習に来たばっかりで、誰も知り合いなんかいなくて、不安で。

毎日HR指導とか、授業計画とか考えて、夜も全然眠れなくて。


大也には会えないし。

生徒には、こんないじめ受けるし。


……もういやだ……


「もう、十分でしょっ!?珍しい実習生からかってるんなら……もうやめてよぉ……」


生徒の前でこんなに泣いて……

あたし、ホント何してるんだろう?


だけど、一度溢れ出した涙は、全然止まってくれない。

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