放課後は、秘密の時間…
「どこが好きだとか時間とか、そんなの関係ないだろ?好きになっちゃったんだから、仕方ないじゃん」

「でも困るんだってば!あたし、付き合ってる人いるし、その人しか好きじゃないし……だから、」

「そんなの知らねーよ。前もそう言っただろ」


あたしの言葉を遮って、市川君はニッと微笑んだ。


「先生の実習が終わるまでに、俺、先生のこと手に入れてみせるから」

「え?」

「彼氏なんかより、俺の方が好きって言わせてみせる」

「そんなのないっ!絶対ないっ!」


一秒も間を空けないで、あたしはすぐに否定した。


だってありえない!

あたしは大也一筋なの。


大也以外見えないし、大也としかキスしたくないし。

キス以上のことだって――


「今、彼氏のこと考えてるでしょ?」

「え?」

「図星だ、なんかムカつく」

「だ、だって……」

「いいよ、べつに。今は彼氏のこと考えてても、もうすぐ俺のことしか見えなくしてみせるからね」

「だから、ありえないってば!」

「ハイハイ。覚悟しててよ?絶対俺のことで、先生の頭いっぱいにするから」


市川君は、そんな言葉を残してさっさと美術室を出て行った。


……何、今の宣言……

諦めてくれたわけじゃ……ないよね、絶対。

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