放課後は、秘密の時間…
『幸せになれよ』


そんな別れのキレイな言葉を、彼女にかけてやることは出来なかった。

でも、それで良かったんだ。


――本当は、今もまだ……

彼女の笑顔を願う一方で、彼女が泣きながら戻ってくることを期待してる俺もいるから。


この腕で彼女を慰める未来が来れば、と。


それはきっと、叶わないものだろうけど。



「――あかり……」


今はまだ、君とのことを『過去』にすることは出来ない。

だけど、無理に忘れようとも思わないよ。


ただ、時間が全てをさらってくれるまで、君を想い続ける。


朝に君の声が聞えなくても、夜に君の温もりを感じられなくても。

君のことを、想いたいんだ。


なぁ、あかり。


恥ずかしさに誤魔化すばかりで、言葉にしたことは一度もなかったけれど。

俺の想いは、あの日々の中で、君にちゃんと届いていただろうか?


失うのなら、何度でも言えばよかった。


愛しているよ、と。


そして、いつか君に言いたい。


愛していたよ、と。



――END――

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