放課後は、秘密の時間…
「先生の好きなモノわかんないし、とりあえずパンとおにぎり、両方コンビニで買ってきたんだけど」


そう言いながら、市川君は袋の中から、ガサガサと食べ物を取り出した。


「ご飯……わざわざコンビニまで買いに行ってたの?」

「え?あ、うん。うち、何も食べ物ないから。……っと、先生どれが好き?」


差し出されたのは、おにぎりが数種類と、クリームメロンパン、コロッケパンetc……

メロンパンを指差すと、


「やっぱり?先生って甘いの好きそうだもんな」


市川君は、嬉しそうにくしゃっと笑った。


今……胸がキュンってした。

だってあんな笑顔見せるなんて、ズルイッ……


「あ、ありがと……」

「いいよ、礼なんて。そんじゃ、食おっか」


コロッケパンのビニール袋を開けて、市川君がパクッとかぶりつく。


そういえば、前に、美術室で一緒にご飯食べた時も……

市川君は、焼きソバパンを食べてたっけ?


「市川君、お惣菜パンが好きなの?前も、焼きソバパン、食べてたよね?」

「好きっていうか、ただのパンだけだと腹持ちしないんだよ。それで、ついこういうの選んじゃうっていうか。他におにぎりも三つくらい食べるし」

「へ、みっつ?パンの他に三つっ!?」

「なーに驚いてんだよ。前も言ったけど、先生が小食すぎんの。もっと食った方がいいよ」

「あたし、普通の量を食べてるよ……?」

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