放課後は、秘密の時間…
第三章 密室
50分授業って、こんなに長かったっけ?

なんか、永遠に終わらない50分って気がしてる。


今は、あたしの2回目の授業。

やってることは全部前回と同じだから、ラクって言ったらラクなんだ。


でも何でこんなに一分一秒を長く感じるのかなぁ……


理由は大体わかってるんだけど。


「先生の言う通りに直してみたんですけど、前のに比べてよくなりました?」


笑顔で聞いてきた問題児。

絶対、この市川拓真のせい!


「よくなったよ。この調子で頑張って」


視線を合わせずに、あたしは早口で答えた。

だって、市川君のそばになんかいたくないんだもん。


今は授業中だけど、何もないなんて確証はない。

前だって、誰が見てるかわかんないのに、いきなり写メを見せてきたし。


ほんと油断できない。


「先生、他に直せばいいとこないの?」

「市川君は基礎は十分できてるみたいだし、このまま描き進めてみたらいいんじゃないかな」

「……そう、ですか」


絵を見たまま答えると、市川君は明らかに不機嫌そうにため息をついた。


……え?

ムッとしてる?

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