放課後は、秘密の時間…
プレゼントに、ケーキ、プラス市川君との時間。

これじゃ、誕生日のフルコースだよ……


それも、とびきり豪華な。



「――ねぇ先生、おいしい?」


結局、あたしは市川君に喫茶店まで連れてかれて……

今は、生チョコレートケーキを食べてるところ。


市川君は、甘いのは苦手だからって、コーヒーだけなんだけど。


「おいしい、よ……」

「じゃあ俺にも、食べさせて」

「え?」

「あーんってヤツ。やってみたかったんだ。ほら、ここ死角だしさ、店員には見えないよ」

「……う…でも…」

「センセ、お願い」

「わ、分かったから、そんな目しないで……。あ……あーん……」


ひーん……手が震えるっ……

や――っ、恥ずかしいっ。


「ホントだ、おいしいね」

「も……分かってて、やってるんでしょ……」

「何が?」

「あたしが、こういうの、照れるって……」

「照れてんの?センセ、カワイイなぁ」


……ダメ。

市川君には、勝てないよぉ……

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