放課後は、秘密の時間…
プレゼントしたのは、携帯ストラップ。

シルバーでできた、アルファベットのTが一つだけついてる、ごくごく簡素なもの。


あの雑貨屋さんで……

市川君には内緒で、実はコッソリ買ってたんだ。


「シンプルなの好きって、前言ってたから……それっぽいの、選んだつもりなんだけど……」

「は……なんだよ、先生……こんな……ってか、マジ嬉しいんだけど」

「……ほんと?気にいってくれた?」

「うん、本当」


ポケットから出した携帯電話にストラップを早速つけて、


「俺も……絶対大切にするから」


市川君は、少し照れたみたいに笑った。


「じゃあ俺も先生に、ホントの誕生日プレゼントを渡すよ。両手、上にして開いて」


ホントの誕生日プレゼント?


開いた手の平の上に置かれたのは、キレイにラッピングされた長方形の箱。


「開けてみて」

「うん……」


リボンを解いて、包みを丁寧にはがす。

そんなあたしの様子を、市川君は柔らかい目で、ただ見守ってる。


箱のふたを、そっとあけると……


「市川君っ……」

「先生にぴったりかな、って思ってさ」

< 329 / 344 >

この作品をシェア

pagetop