放課後は、秘密の時間…
もう、胸がいっぱい。


嬉しくて、苦しくて……涙まで出てくる。


「――先生、泣くなよ」

「……泣か…せて、るのは……い、いちかわくん……」

「だよな」


クスクス笑いながら、市川君はあたしを抱きしめて。

あたしも、その背中に手を回した。


大好き。

大好きだよ……


イジワルで、優しくて。

カワイくて、カッコ良くて。


こんな、ロマンチストなところもあって……


市川君のこと……

好きすぎて、苦しいくらいだよ……


「あ、でも贈った指輪、ちゃんと薬指にも嵌めてよ?」

「……うん、もちろん……」

「来年の誕生日、楽しみにしてて」

「も……気が早いってばっ……」

「――それと、もう一個プレゼント」

「まだあるのっ?」

「これが本当の最後。――目閉じて」


まぶたを降ろすと、視界が真っ暗に覆われる。

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