放課後は、秘密の時間…
「先生……誕生日、おめでとう」


唇に降りてきたのは、優しいキス――……


ふと目を開くと、


「やっと言えた。――最後のプレゼント」


大好きな彼が、柔らかく微笑んでた。



やっぱり、もう一度泣き出したあたしに市川君は何も言わなくて。

ただ、しばらくの間、ぎゅっと抱きしめていてくれた。


そんなあたし達を見ていたのは……

空に浮かんだ、細い三日月だけ――……




抹茶味のソフトクリーム。

初めて撮った、記念のプリクラ。

三匹の、ウサギのぬいぐるみ。

携帯ストラップ。

オルゴールの、アクセサリーケース。


――市川君の、『誕生日、おめでとう』



21歳の、あたしの誕生日は……

これ以上ないくらい、幸せな日。


大好きで大切な、年下の彼に祝ってもらった……

一生忘れられない、誕生日。



――END――

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