放課後は、秘密の時間…
「――先生、着いたよ。鍵、持ってるだろ?」


あたしよりも少し先を歩いていた市川君が、足を止めた。


いつの間に着いたんだろ……

全然気がつかなかった。


小さな穴に預かった鍵を差し込むと、錆びた鉄のドアが鈍い音を響かせて開く。

倉庫というだけあって、中は十分に広いみたい。


「うわ、まっくら……電気、電気。スイッチどこ?」


足元に注意しながら、そろそろ歩いてると、


「え?」


ギィィ……

扉が閉まる音と同時に、急に視界が真っ暗になった。


「ちょ……何?」


電気もつけてないのにドアが閉まっちゃったら、何にも見えないじゃない。


どうして急に閉まったの?

あんな重い鉄のドア、勝手に閉まるようなものじゃないのに……


なんて考えても仕方なくて、あたしは手探りでスイッチを探した。

だけど、鉄の壁のひんやりとした感触が指に残るだけで、それらしきものは全然見当たらない。


そういえば……

市川君はどこにいるんだろう?


一緒にここに入ったよね……?


「ねぇっ、市川君っ?いる?」

< 35 / 344 >

この作品をシェア

pagetop