放課後は、秘密の時間…
確かに市川君もこの倉庫にいるはずなのに、返事は聞こえない。

中にはあたしの声だけが響いた。


「市川君!?いるなら返事して?」


もう一度、今度はさっきよりも大きな声で呼んでみたけれど、やっぱり返事はない。

それどころか、物音一つしなくて……


急に、嫌な考えが頭をよぎった。


あたし……もしかして閉じ込められた?


ううん、まさか……

考えすぎだよね。


だって、市川君がそんなことしても、何の意味もないもの。


「ねぇ、市川君ってば!!」


何で返事してくれないの?

まさか、本当に閉じ込められたの?


窓一つない倉庫は本当に真っ暗で、自分の足元さえ見えない。

不安な気持ちはどんどん押し寄せてくる。


「……どうして……」


どうして、こんな目に合うんだろう?

あたし、市川君を怒らせるようなこと、何かした?


もう、教師なんか諦めちゃおうかな……


生徒にこんなことされたくらいで、泣きそうになるなんて。

やっぱり、教師なんか向いてないのかもしれない。

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