放課後は、秘密の時間…
どうすればこの状況を抜け出せるの?

もう何も思いつかない、考えられない。


逃げられない。

あたしは市川君の罠に、はまってしまったんだ……


「……わかった…から」


悔しい。

悔しくて、苦しくて。


そんな、どうすることもできない気持ちだけが込み上げてくる。


いくら脅されたからといっても、あたしがこれからしようとしてることは、大也を裏切ることになる。


今までだって、キスは市川君にされたけど……

でも無理やりされるのと、あたしからするのとじゃ、全然違う。


大也を裏切りたくなんかないのに。


「……本当に、したら……」

「うん、俺たちのことは秘密にするよ」


……大也、ごめんね……

こんなことになって、本当にごめんね。


あたしから、大也のことを裏切って。


「先生……」


震える手で市川君の頭を引き寄せると、見た目よりも柔らかい髪が揺れた。


こんなの、キスでも何でもない。

ただ、唇が触れるだけなんだから……

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