放課後は、秘密の時間…
ガラガラガラ……


お店の戸が引かれると同時に、足音が聞こえた。


新しいお客さんかな?


ちらりと目線を移した瞬間――

心臓が止まるんじゃないかって、あたしは本気で思った。


だって、だって、だって!!

なんでっ!?


お店に入ってきた若い男の子のグループは、知ってる顔が何人もいる。

ていうか、ほとんどあたしが担当してるクラスの生徒!?


あれ?

……ってことは、もしかして。


この胸騒ぎは――


「……あれ、二宮先生?」


やっぱり……


「い、市川君……こんにちは」


絶対、今のあたしの顔、ひきつってる。

笑顔を浮かべようと努力してみたものの、それが上手くできてるかどうかは怪しい。


「休みに会うなんて、偶然ですね。先生、何して……あ……」


あたしの向かい側に座ってる大也に気がついて、市川君は言葉を止めた。

大也は、不思議そうな顔で、あたしと市川君を交互に見てる。


――マズイ……

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