放課後は、秘密の時間…
「お前やっぱ、疲れてんのか?いつもより元気ないし」


帰り道を歩きながら言われた大也の言葉に、あたしは慌てて返事をした。


「そんなことないよ、全然!大丈夫!」

「そうかぁ、無理すんなよ?――あぁそうだ、さっきの続きなんだけどさ」


さっきの続き……?


「実習終わったら打ち上げ~ってヤツ」


そういえば、話の途中だった。

急に生徒達が来て、結局、大也の話を最後まで聞けなかったんだ。


「打ち上げがどうかしたの?」

「うん、打ち上げっていうかさ。どっか行かない?」

「え?」


言われた言葉の意味がわからなくて、もう一度首を傾けると、


「旅行とかさ、二人で行かない?実習終わる頃って、ちょうどお前の誕生日あるし」

「たんじょうび?」

「何だよ、あかり。自分の誕生日忘れてたのかよ?」

「あ……」

「マジで忘れてた?まぁ、あかりらしいっていえば、らしいけど」


そういえば――……

確かに、この実習から解放される頃って、あたしの誕生日がある。


実習で毎日忙しくって、そんなこと、頭の片隅にもなかった。


大也、覚えててくれたんだ。

あたしですら、忘れてたっていうのに……

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