放課後は、秘密の時間…
「どう?」

「うん、行きたい!」

「そっか、良かった。じゃあ行きたいとこ、考えといてよ」

「わかった。でも大也はいいの?」

「あかりの誕生日旅行だし、あかりの行きたいとこ行こう?」


すっごく嬉しい……!


そんな気持ちを、少しでも伝えたくて。

そっと大也の手に指を絡ませると、大也もぎゅっと握り返してくれた。


手を繋ぐと、あたしの歩幅に合わせてゆっくり歩いてくれる。

大也のこんな何気ない優しさが、あたしは大好き。


「旅行楽しみにしてる!行き先もゆっくり考えるね?」


実習が終わったら、すぐに行くのもいいかもしれない。

疲れもたまってるかもしれないけど、大也と会えなかった時間を早く埋めたいし。


思い切って、二泊以上の旅行でもいいかな?

大也と一緒なら、きっとどこでも楽しいよね。


まだまだ先のことだけど、考えるとワクワクしてくる。

小学生の頃によく感じた、遠足の前日の気持ちに似てるかもしれない。


そんなあたしを見て、大也がふっと笑った。


「よかった。元気出たみたいだな」

「え?」

「昼頃からさ、暗い顔してたから」


あたしのこと……

ずっと、心配してくれてたの……?

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