放課後は、秘密の時間…
どうして……

どうしてこんなときに笑えるの?


市川君の今の気持ちが、あたしにはちっともわからない。


一体何がおかしいのよ?


目で訴えると、市川君はそれに応えるように口を開いた。


「先生、協力してよ。先生が静かにしてくれてたら、何も問題ないんだから」


協力……?


「俺が何しても、声出しちゃダメだよ?」


――え……


シャツが大きく広げられて、キャミソールの中に彼の手が侵入した。


「ん……んん……」

「ダメだって、先生。静かにしてくれなきゃ、あいつらに見られちゃうよ?」


ドア一枚を隔てた廊下から、生徒達の話し声が聞こえてくる。

曇りガラスに人影が映るたびに、あたしの心臓は壊れそうに音を立てた。


お願いだから。

誰もあの戸を開けないでっ……!!


「静かにしててね、先生」


言葉と同時にあたしの口元から外れた彼の手は、そのまま肩を押さえつけてくる。


「……い、やっ……はなし……」

「セーンセ、聞こえるよ?」


戸の方を目線で指して、市川君はスカートの中にも手を忍び込ませた。

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