放課後は、秘密の時間…
「見られたくないんでしょ?」

「だからって……ふっ……」


太ももを触られた瞬間、思わず声が漏れて。

あたしは両手で自分の口を塞いで、ぎゅっと目を閉じた。


「そうそう、そうやって静かにしててよ」


楽しそうな声。


市川君の言ってた「協力」って、こういう意味なの?


今のあたしには、叫ぶことも音を出すことも許されない。

市川君の思い通りにしかならないんだ。


「も、やめて……よ……」

「やだよ」

「こ、んなこと、して何になるって…いうの……?」

「………」

「市川君、何で……」


彼の胸を押しのけようとしたあたしの手を、市川君がぐっと掴んだ。


「何でだって?何度も言ってるだろ、先生のことが好きだからだよ」


小さいけど強い声が、あたしだけに向けられる。


でも、好きだからって、何をしてもいいわけじゃないよ?

それにあたしには、大也が……


「わかってるよ。先生が俺のことを好きじゃないことくらい」

「……ぇ……?」

「俺だってバカじゃない、それぐらいわかってる。それでも――」

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